天職の見つかる場所
あなたは今、ご自分の仕事をどのようにとらえていますか?
どんな仕事をするか・したいか、という話題になったとき、必ず出てくるのが「天職」。
「天職」の意味を調べてみると、
天から授かった職業。またその人の天性に最も合った職業
デジタル大辞泉
とあります。
自分の天性=生まれながらの性質にあった職業とは何なのか…。
これから就職をする人、あるいは転職や起業を考えている人などには特に気になるキーワードかもしれませんね。
もし、「自分の天職が何かわからない」「なかなか天職が見つからない」という人は、一度立ち止まって、「天職」の定義を考えてみてはいかがでしょうか。
以下は、あくまで私がこれまで出会った人たちや自分自身の経験から得た考えではありますが、天職について述べてみます。
もくじ
天職は自分の外側にはない
天職=天から降ってくる「運命の仕事」と思っていると、天職はどこにも見つからないでしょう。
それは「運命の人」を漠然と待つのと同じ。
天職が生まれついての性質にあったものであるのなら、そもそも自分の中に種があり、自分でそれを撒いて育てていくものなのではないでしょうか。
ということは、やりたいことがはっきりと決まっている人以外は、最初からすぐに天職につける可能性は低いともいえます。
やりたいことがはっきりわかっている=種から芽が出ている状態だからです。
人生で出会うさまざまなことにトライしてみて、しっくりくるものを選んでいくうちに本当にぴったり合うものが見つかるのではと思います。
天職にもストレスやプレッシャーはある
今、仕事絡みで大きな悩みを抱えている人は、「天職さえ得られれば、人生のすべてがうまくいく」と思いたくなることもあるかもしれません。
実は、天職にも悩みはつきものです。
種から育てていく過程で多くの試行錯誤があります。ただ、その試行錯誤にむなしさではなく、やりがいを感じたり、どこか楽しかったりはします。
一方で、だからこそ、ストレスやプレッシャーと真正面から向き合う羽目にもなります。
「100%パーフェクトでないから天職ではない」と思うのは早計でしょう。
ちなみに、今日のテラコヤラジオでは、“大好きな仕事とストレス”についてお話しています。
良かったらこちらも聴いてみてくださいね。
テラコヤラジオ第11回 好きなことを仕事にしたらどうなるか
天職は収入源でなくてもいい
天職というと、やはりそれが職業であり、しかも高い収入をもたらすものと考えてしまいがちです。
ですが、それなら専業主婦(夫)は天職ではないのでしょうか?
「家を快適にしたり、家族の世話をしたりすることが生きがいでとても楽しい!」という人も一定数います。
また、映画「釣りバカ日誌」のハマちゃんの天職は釣り人ですよね。
お金を稼ぐ仕事ではないものの、釣りは彼にとってのライフワークです(むしろ釣り代のために仕方なくサラリーマンをやっている?)。
天職は最初から楽しく稼げるものとは限りません。
のちにお金が入るものになる可能性もあるけれど、そうでない場合もある。
実際、仕事とライフワークが重なる人もいれば、生活のための仕事とライフワークを分けている人もいます。
“お金になるか・ならないか”で考えすぎると、かえって天職から遠ざかってしまうかもしれません。
天職かどうかは自分が決めるもの
その仕事が他人から認められようが認められまいが、自分がそれに取り組んで人生が充実していればやはり天職だといえるでしょう。
世の中に流布する“天職物語”はどうしても成功者や天才のストーリーなので、富や名声が得られたというパターンがほとんど。
でも、そんな他人から見てカッコいいストーリーを持たずとも、「この仕事をしていてとても幸せだ!」と感じている人はたくさんいます。
最近は自分軸という言い方もしますが、他人からどう思われるかより、自分の中の情熱や楽しさを基準にして天職かどうかを決めてよいのです。
天職はひとつではない
日本では長らく、ひとつの仕事を続ける、あるいは一社に勤め上げることに価値が置かれてきました。
しかし時代の変化は速くなり、かつ寿命が延びた今、「この道一筋〇十年」は必ずしも全員に当てはまる公式ではなくなってきたと思います。
ひとつの仕事を一生続けることも、何度かガラリとキャリアチェンジすることも、複数の仕事を持つことも、自分の性質にあう仕事であれば、どれも幸せなこと。
自分の天職はこれしかないと思い込むのは、かえって自分の可能性を狭めることになります。
場合によっては、スキルや経験さえ自分を縛ってしまうものになってしまうかもしれません。
なぜならこの変化の速さのなかでは、今はまだ存在しない仕事をまもなく天職とする人も、たくさんいるだろうと考えられるからです。
天職を見つけるには
天職を考えるときに、必要なことがいくつかあります。
自己分析をさまざまな角度から行う
これにきちんと取り組まないまま天職を探しても、無駄足が増えるだけ。
やみくもに行動できるほどには(まったく行動しないよりはマシですが)、人生は長くはありません。
自己分析によってある程度アタリをつけることも大事です。
自分の気持ちに徹底的に正直になる
見栄や流行、世間の常識、外野(他人)の忠告は捨てること。
世間でいう成功者の定義に近づこうとしても幸せにはなりません。
あなたは、みんなから「すごい」と言われたいだけなのでしょうかか、本当に充実したい人生を送りたいのでしょうか。
自己分析とともに自分の本心に向き合うことも大切です。
「何だか面白そう」とアンテナが反応したら、すぐに行動してみる
ポジティブな気持ちで興味がわいたものなら、軽い気持ちで試してみるとよいと思います。
逆に興味もないのに、流行っているからというだけで手を出しても、時間とお金を無駄にするだけでしょう。
ここではまだ、お金になりそうかどうかは考えなくてもよい段階です。
最初から正解にたどりつけなくても、いちいちがっかりしない
試してみたら案外イマイチでそれ以上興味がわかない、ということもあるかと思います。
合わないということが分かったわけですので、必要以上にがっかりする必要もありません。
天職に出会うタイミングも人それぞれ。
定年退職したあとに予想外のライフワークに出会う人もいますよね。
自分の好奇心のアンテナを常に立てておき、これぞと思ったものに積極的に関わってみるとよいのではないでしょうか。
そのときに、前述の自己分析と自分の気持ちを整理しておくことが大切になってきます。
実は天職はなくてもいい
逆説的ですが、天職はなくてもまったく問題ありません。
自分探し、やりたいこと探しに迷う人がいるのは、「天職を得ないとだめだ」という考えがベースにあるから。
天職とまではいえないけれど、生活に困らず、健康で、よい人間関係があれば、実はそれなりに幸せな人生を送ることはできます。
確かに、天職を得た人の多くは生き生きとして見えるので羨ましく思うかもしれませんが、だからといって、天職に出会えていない自分を卑下する必要はまったくないのです。
人生は天職を含むさまざまな要素で構成されています。
それらをトータルで見た時に幸せであれば、それもまたよいのではないでしょうか。
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