ラクを選ぶということ

どん底状態のとき、「今とってもラクで~す♪」というような人はいませんよね。

肉体的にも精神的にも、その真逆「しんどい、苦しい」という状態だと思います。

どん底から抜け出していくときに大切なことのひとつとして、「ラクを選ぶ」ということがあります。

「こんなにつらいんだから、なれるものなら、今すぐラクになりたいと思ってるよ!」と言いたくなる人もいるかもしれません。

でも今ラクになっていないなら、実はあなたはまだラクを選んでないんです。

まず結論から言いますと、どん底状態にあるときは、「ラクを選ぶ」べきです。

でも、心身ともにきついときというのは、なかなかそういう発想が出てきません。

そもそも「ラクを選ぶ」とはどういうことなのか、どうやって選ぶのかもわからない人もいると思います。

この記事では、

  • なぜラクを選ぶべきなのか?
  • どうやってラクを選べばいいのか?
  • 甘えや逃げではないのか?
  • 「死を選ぶこと」との違い
  • 実はどんな人でもラクを選んでよい!

など、「ラクを選ぶ」ということについて、書いています。

今つらいなと思っておられる方はぜひ読んでみてください。

なぜラクを選ぶべきなのか?

物事を選択するときに、AかBか迷ったら「キツイほうを選べ」「自分が成長できるほうを選べ」というものがあります。
ビジネス系の自己啓発などでよく聞きますよね。

確かにそれは一理あるのですが、気を付けるべきことがひとつあります。

そういうものは、心と身体のエネルギーが十分にあるときのみ有効な考え方だということです。

今この記事をお読みになっているあなたは、「とてもじゃないけどそんな元気はない」という状態かもしれませんね。

もともとは健康な方であっても、今はストレスがいっぱいで元気が出ない、メンタルを病みかけている、あるいはすでにどこか体調に異変が出ている…などです。

しかも、そういうときは仕事などもうまくいきませんから、「どうしたら結果が出せるか」みたいなことに意識がむいて焦ったりしてしまいがちです。

もしあなたが今、明らかに心や身体に不調を抱えている場合は、そういう自己啓発や成功哲学のようなものはしばらく忘れてください。

それをやりたければ、元気になってからまた楽しめばいいんです。

なぜなら、そういうものは、一種のハードトレーニングだからです。

例えば筋トレをするときは、筋肉に負荷をかけて大きくしていきます。

でもけがをしていたり、高熱があったりするような状態で、きついトレーニングをしてしまうと、結果が出ないどころか、かえって身体を痛めてしまいます。

そういうときは、しっかり休養をとって、まともに動けるようになってきたら、またトレーニングを再開するべきですよね。

人生もこれと全く同じです。

どん底状態にあって、「もう心も身体もにっちもさっちもいかない」という状態の人が選ぶべき道は、ただひとつ。

ラクを選ぶ」です。

もう少しわかりやすく言うと、「ラクになる道を選ぶ」「ラクになるほうを選ぶ」ということですね。

しつこいかもしれませんが、「ラク」一択です。

今のあなたは、ハードトレーニングより、休養が必要な状態だからです。

どうやってラクを選べばいいのか?

ラクを選ぶ」方法、それはとてもシンプルで、自分の本音・本心に従うということなんです。

心や身体に出ている何らかの症状は、心や身体の悲鳴だと思ってください。

つまり、すでにあなたの今現在の状況・状態について、心や身体は「もういやだよ~」とか「いい加減にしろ!」と、あなたに対して叫んでいるんですね。

でも、そんな心や身体の声を無視して、あなたの頭(思考)は、

「ここで会社を辞めたら生活ができない」
「こんなことで休んではいけない」
「こんなことで傷ついてはいけない」
「こんなところで投げ出してはいけない」

など、ぶつぶつ言い続けています。

でもこういう状態が続いた先に、ある日突然限界がきて、無意識に死を選ぶとか、あるいは倒れてそのまま死んでしまうとか、最悪の場合そういう事態になりかねません。

今のあなたがすべきことは、自分の心と身体の訴えに耳を傾けることです。

それが、すなわち、自分の本音・本心に従うということでもあります。

自分の本音・本心が分からないとき

とはいえ、自分の本音・本心が分からないということもあります。

特にどん底のときはストレス過多で頭がいっぱい、混乱していることが多いので、「自分はこうしたい」という本当の願いと、「こうしなければならない」「こうあらねばならない」という気持ちがごちゃ混ぜになってしまいます。

そういうときは、今あなたが置かれている状況から、すべての条件や制限を取り払ってみてください。

例えば、「職場のストレスで、すでに抑うつ状態にある。でも仕事を辞めたら生活ができない」というとき、「辞めるなんてとんでもない!仕事は辞めたくない!」と思っている人も多いと思います。

でも、それが今のあなたの本音・本心ではないと気づいていますか?

この場合の制限は「生活ができない」ですが、もし誰かが「そんな大変な状態なら、しばらく生活費を出してあげるよ」と言ってくれたとしたら、正直なところ、どうでしょうか?

「だったら、すぐに会社を辞めよう」
「良かった、これで辞められる」

と思ったとしたら、あなたの本音・本心は「辞めたい」なんですね。
「辞めたくない」ではないんです。

つまり、あなたが気にしている条件や制限を取り払った状態で、「選択したい」「こうしたい」と思えることが本音・本心です。

「そんなこと言ったって、実際は…」と思うかもしれませんが、まずは自分の本音・本心をきちんと認めることはとても重要です。

今どん底状態だということは、これまで「自分の本音・本心を無視してきた結果」である可能性も高いのです。

もちろん、もしあなたが健康な状態で、ただ、「あ~、この職場つまんないし、きついし、なんかもう辞めたいなあ」と思っているなら、他にも選択の余地はあります。

でも、心身がもう限界に達している場合は、本音・本心に従うことです。

「今、限界だけども自分の本音が分からない」という人は、別の言い方をすれば、あなたを苦しめているものにすがりついている状態なんです。

苦しめているものというのは、「すでに全然うまくいっていないが、でもこうであらねばならない」というようなことです。

「もう心身が限界だけども、私は退職するわけにはいかない、会社員でなければならない」という感じです。

ですが、その頭で考えた「○○でなければならない」はもう機能していません。

だからこそ、どん底なのです。

そういう思い込みをいったん取り払ってください。

そして、「自分が、本当はどうしたいのか?」をシンプルに考えてください。

どん底の状態からなかなか抜け出せない人は、ここでもがいている場合も多いです。

魂の声を聴く

この本音・本心というのは、あえてスピリチュアル的な表現で言うと、「魂の声」ともいえます。

私たちはふだん、社会に順応するために、この魂の声を無視して生きていることが多いんです。

平常時は、それでも何となくごまかしつつ、やっていけるのですが、どん底のときというのは、心や身体、人生そのものが緊急事態なんです。

もうごまかす体力なんて残っていないんですよね。

でも、そんなときこそこの魂の声を聴かないで、一体いつ聴くべきなのでしょうか?

「そんな魂の声なんてよくわからないよ」という場合は、あることに注意をはらうと、それが正解かどうかがわかります。

それは、「ほっとする」かどうかです。

何を最優先すればほっとできるのか?

たとえ話をしてみましょう。

Aさんが泥沼に落ちてしまい、どんどん沈んでいっています。
通りすがりの人に助けを求めると、Bさんが駆けつけてくれました。

Aさん:泥沼に落ちてこのままでは死にそうです!誰か助けてください!

Bさん:大変だ、私の手につかまって、こちらに動けますか?

Aさん:いやいやダメなんです、私はこの沼から抜け出すわけにはいかないんです!でも、苦しいんです!助けてください!

Bさん:え~と…(この人はそもそも沼から抜けたいのか、抜けたくないのか、どっちなんだ?そもそも、まず沼から抜けることが最優先じゃないのか?)、…なぜこの沼を抜け出すわけにはいかないと思うんですか?

Aさん:この沼に住むエビを食べないと生きていけないんです

Bさん:あっちに安全な湖があります。いい魚もいるから、今後はそれを食べるといいですよ

Aさん:いや、ここの沼のエビじゃないとダメなんです!でも死にそうなので助けてください!

Bさん:……(*_*;

ここでAさんが考えるべきなのは、シンプルに「自分はどうしたいのか」です。

言い換えれば「何を最優先したいのか」でもあります。

この沼から抜け出て命を優先したいのか、それともこの沼のエビを食べることを優先したいのか。

そもそもこのまま沈んで命を落としたら、エビを食べるどころではありませんが、Aさんは視野が狭くなってしまって、そこの視点が抜けています。

そして、沼から脱出が遅れれば遅れるほど、体温が下がって、体力を奪われ、運よく助かっても、なかなかもとの生活に戻れなかったりします。

もし「このまま死んでもいい、この沼のエビさえ食べられたら本望だ!」と思っているなら、「エビを食べる」が本音・本心でしょう。

でもAさんは、「死ぬのはイヤだ!」と実は強く思っているからこそ、他人に助けを求めているわけです。

つまり、こういう状況のとき、あなたの魂は間違いなく「沼から抜けだす」ことを望んでいます(エビではなく)。

それを素直に聞いてあげてください。

それが結果的には助かる道なんです

そして、「やっぱりもうこの沼から抜け出そう」と心に決めた瞬間、何だか心がほっとしたら、それは正しい選択です
魂の声に沿っていると思ってOKです。

あなたがほっとする、つまり心がラクになる選択をするということです。

もちろん沼から抜け出した後、短期的には「あの時抜け出すべきじゃなかったかもしれない」と後悔したくなる時もあるかもしれません。

でも長期的に見た時には、おそらく「あの時抜け出して良かった」となります。

なぜなら、あなたの魂は、そもそもあなたを殺そうとはしません。

それどころか、このピンチにおいて、「いかにして生き延びるか?」ということを優先しているので、生きるという選択をして結果的に不利になるということはありません。

そして、スピリチュアルではなく現実的なところでいうと、心や身体さえ正常に戻ったなら、いくらでも「自分のした選択を正解に変えていく」という作業ができるので、本当は心配する必要もないのです。

エネルギーの投入先を誤らないこと

「制限を取り払って、自分の本音・本心は分かった、でも現実は、クリアすべきことがあるんだけど?」

もちろん、この気持ちはよくわかります。
だからこそ葛藤してしまうわけですよね。

先述のように、自分の本音・本心をはっきりと認めるというのはとても大事です。

それにより、まず今後の方向性が明確になるからです。

葛藤したままだと、車ならアクセルとブレーキを同時に踏みつづけて故障したり、早々にガソリンが切れたりしてしまいます。

どん底状態というのは、ガソリンがほとんど残っていないか、そもそもタンクが小さくなっているか、だといえます。
ガソリンが残っていないと、車が故障しても修理屋さんに持っていけませんよね。

ここでいうガソリンは、エネルギーのことです。

そんな貴重なエネルギーを、葛藤という無駄な動きに使うべきでないのです。

どん底が長引く原因になります。

方向性がわかったなら、次にそれが実現するためには何ができるかを考え、行動します
ここに、今使えるエネルギーを集中投下してください

それは病院に行き、診断書を書いてもらうことかもしれません。
誰かに頭を下げて、生活を援助してもらうことかもしれません。
役所や専門機関に相談にいくことかもしれません。

例えば、もし今あなたが「もう心がヤバい」「身体がヤバい」「いやもう両方ヤバい」という状態のときに、その「ヤバいものをどうしたらラクにしてあげられるか」を考えてみてください。

ラクを選ぶ=甘え?逃げ?

日本人は真面目な人も多いので、「ラクを選ぶ」ということが「甘え」や「逃げ」ではないのか、と思ってしまう人もいるかもしれませんね。

「この選択をしたらラクになる。でも、それは甘えではないか?」と思ってしまい二の足をふむ場合、もしそれが「甘え」だとしたら、どんな不都合があるのかを具体的に考えてみてください。

おそらく、深刻な不都合は何ひとつ出てこないと思います。

例えば、新卒で入ったばかりのブラック企業を辞めたい。
でも、こんなすぐに辞めるのは、甘えなんじゃないか?

…という感じで考えたりしますよね。

でも、その甘えとは、いったい何でしょうか?

その選択を実行したときに、どんな不都合があり、それがどれほどあなたに影響するのかを考えてみてください。

ブラックな会社ですから、上司から「お前は甘い」と怒られるかもしれません。

辞めた後に、もと先輩や同僚たちから「あいつは甘ったれだ、弱い奴だったよな」と笑われるかもしれません。

でも…「だから何?」なんです(笑)。

会社など辞めてしまえば、もう一切関係のない人たちです。

そんな人たちに何を言われようが、どうでもいいことです。

なぜなら、そんなことはあなたの人生には何の影響も及ぼさないからです。

ここで「でも…」と思うとしたら、彼らがどうこうということではなく、あなた自身が他人にどう思われるかを気にしているということが原因になっているだけなんですね。

あなたが本音・本心に従って決断をするとき、「これは甘えではないか、逃げではないか?」と思ってしまうとしたら、そんなあなたを許せないと思っているのは、実はあなた自身です。

人生における大事な決断をするときに、他人の嫌みなど気にしている場合ではありません。

誰に何を言われようとも、あなた自身が「これで問題ない」と思っていれば、問題にはなりえません。

死を選ぶこととの違い

どん底状態にある人が、ラクになるというと「死を選ぶ」ということを考えがちです。

今日お話している、「ラクを選ぶ」とは、死を選ぶことでは決してありません。大前提として、生きること、もっといえば生き延びることが重要です。

勘違いしてほしくないんですが、あくまで「生き延びるためにラクを選ぶ」んですよ。

自殺するというのは、ある意味勇気もいるし、エネルギーも使います。

本当に衰弱している人の場合は、死にたくても死ぬこともできません。

死ぬって別にラクじゃないよ

ねこ
ねこ

なので、自分で死ねるくらいの勇気とエネルギーをせっかく持っているんだったら、ぜひ生き延びるほうに使ってほしいのです。

ただし、このような希死念慮があるのは、生きものとしての本能が一時的におかしくなっているような状態でもあります。

生きものは基本的に自ら死ぬということをしません。

もしそういうことをする生きものがいたとしても、自分のDNAを残すため、その種を存続させるための本能など、やはり大きい意味では生き延びるためなんです。

そういう本来向かない方向に意識が向くというのは、ひと言でいえば疲れているということなんです。

もう何もしたくないんですよね。

死ねば何もしなくていいからラクだなと思って、「死にたい」という発想につながってくるのではないかと思います。

でもここでもシンプルに考えてほしいのですが、何もしたくないのであれば、そのまま静かに休んでいたらいいのです。

なぜなら、そういうときの本音・本心こそ「何もしたくない」だと思うからです。

だったら気力と体力が復活するまで、心と身体に負荷をかけないでおくことです。

そのほうが、正直、自殺なんかよりもよほどラクなのではと思います。

だから、「ラクを選んでください」なんです。

もちろん「それでも生きていたくない」という人もいます。

その理由も人それぞれだと思いますが、例えば、「今後の人生のなかでまたつらいことが起こったら、もう太刀打ちできる気がしない」とか考えていたりするのではないでしょうか。

確かに、生きるということは、どこかで自分の人生と向き合うことになりますので、自分の人生を直視できない、受け入れられないということだと思います。

ですが、しっかり休養して、脳がまた正常に動き始めたら、「死にたい」という気持ちはなくなってきますし、生きるということに向きあえるようなエネルギーも湧いてきます

なぜかというと、そのほうが死ぬよりもあなたにとって「ラク」だからです。

なので、「死にたい」は一時的なものなんです。
それが数か月か数年かは人によりますが。

「死にたい」という人は、本当に死を体験したいわけではなく、「死ぬほどつらい」という気持ちを「死にたい」と表現しているだけだと私は思っています。

「死にたい」というのは、本音・本心ではないからですね。

先ほども述べたように、魂が死を望むとは考えられないからです。
死を望む魂ならそもそも生まれてはこないでしょう。

なので、もし「死にたい」と思ったときも、本音・本心に従ってください。

それに従っていれば、結果的には生き延びることができると思います。

死にたくても生きていていい

「死にたい」と言われたときどう答えるか?それはなぜか?

誰でもラクを選んでいい!

実は、健康であっても、特に今どん底でなくても、ラクを選んでいいというか、「ラクを選ぶ」べきなんです。

そのほうが人生はラクに、スムーズになります!

ただし、ラクというと、「サボれるほう」「手間がかからないほう」「努力しなくていいほう」などとつい考えてしまうかもしれません。

そうではなく、先ほども述べたように、あなたの心が「ほっとするほう」です
肩の力が抜けるほう、心がラクになるほうですね。

例えば、しばらく転職活動をしていてやっと何とか1社だけ採用連絡がきたとします。

でも、その1社は、面接のときに、何か違和感を覚えていた会社だった。

…というとき、あなたはどうしますか?迷いますよね。

私たちはもう直感で、その会社に入るべきかどうか、結構わかっていたりします。

でも、頭(思考)が、

「いやもうこれ以上転職活動したくないでしょ」
「せっかく採用されたのに断ったらもったいない」

と、ごちゃごちゃ言ってきます。

そういう時に「よし、入社しよう!」と思っても、どこか心がざわざわする…としたら、その会社は違うと思います。

「いや、残念だけど、この会社は断ろう!」と思って、ほっとしたらそれが正解です。

そんな感じで、ラクを選んでいくと、間違いないほうに進めます。

ほっとするほうを選んだ時って、魂が「あ~、そうそう、それそれ~!」って言ってくれているようなものなんですね。

この「ほっとする」感覚が「ラクを選ぶ」の指針になると覚えておいてください。

大事な決断をするときこそ、自分の本音・本心に蓋をしないでくださいね

あん
あん

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